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アジサイのサムネイル

アジサイと日本、化学・土壌の話②

2021.07.07

おはようございもん。

 

一昨日の記事ではアジサイについての文化・歴史について触れ、昨日の記事では色と光の話について書きました。

本日はアジサイの色の変化に、土壌の成分がどのように影響を及ぼすのかを見ていきましょう。

 

前回の記事を読んでいなくても分かるように書いているのですが、より詳しく知りたい方は以前の記事へレッツゴー!

 

>>リンク アジサイと日本、化学・土壌の話①

>>リンク 「色」と「光」と「視覚」の話

アジサイの花の色は土壌の影響を受ける

アジサイの写真

アジサイの花の色は土壌によって変化する。酸性の土壌では青く、アルカリ性の土壌では赤くなる、と言われておりこれはご存じの方も多いかと思います。

 

本日はさらに深いところまで、どうして酸性だと青く、アルカリ性では赤くなるのかを見ていきましょう!

 

先に結論から申しますと、発色の色素及び補助色素、土壌のpHとアルミニウム量で変化します。

 

これだけだと「?」だと思いますのでまずは根本的に、植物が持っている「物質」についてみていきましょう!

 

植物の持つ物質について

昨日の記事で、葉っぱは「緑成分以外の光を吸収し、緑色の光を反射している」というお話をしました。

 

植物は色に関する反応を示す化学物質を幾つか持っているわけです。その代表的なものとして、「クロロフィル」、「カロチノイド」、そして「アントシアニン」というモノがあります。なんだかまた紛らわしい呪文みたいなのが出てきたな。。。一先ず、順番に見ていきましょう。

 

〇クロロフィル

 

クロロフィルは光合成の反応で光エネルギーを吸収する役割を持つ化学物質で、「葉緑素」というと馴染みがあるかもしれません。植物の葉っぱはこの物質を多くもち、「緑の波長をもつ光を吸収しにくい」ため緑色に見えます。

緑の田んぼ

 

〇カルチノイド(カロチン、カロテノイドとも)

 

ニンジンのキャロットが語源となっており、その語感通り黄・橙色を示す色素成分です。カロチノイドを作ることができるのは植物と一部の微生物のみで、体内で合成して蓄積しています。

 

この物質は光合成における補助光作用・光保護作用や抗酸化作用の役割を果たします。

クロロフィルが吸収できない波長の光エネルギーを吸収して、クロロフィルに渡すことで光合成の補助をしながら有害な波長をカットして植物を守っているのです

 

クロロフィル(葉緑素)が吸収できない緑を含めて、青、紫の波長の光を吸収する作用があります。そのため吸収されなかった赤、黄色の光が反射するために私たちにはその色が見えるということですね。

オレンジの花。これもカルチノイドに起因。

〇アントシアニン

 

アントシアニンは赤色の天然色素として知られています。実はこのアントシアニンがアジサイの色の変化の原因です。

 

成長や発生、生殖の為に生産する物質は一次代謝物と呼ばれます。そして自ら置かれた環境に適応し生存するために生産する物質を二次代謝物と言います。

アントシアニンはその二次代謝物の一つです。

 

この物質は植物が紫外線などの有害な光によるダメージから身を守る働きがあります。人間でいうメラニン色素のような役割ですね。

イチゴの赤もアントシアニンが元になっている。

〇アジサイの青色の素はデルフィニジンとアルミニウム!

さて、植物が多く持っている色素は上記のとおりです。それぞれの物質にもいくつか種類があるのですが、アジサイは「デルフィニジン」という「アントシアニン」の1種と「補助色素」をもっています。これらはアルミニウムイオンを介することで結びつき、青い色を出す物質になります。これがアジサイの青い色の素というわけです。

青いアジサイ

土壌とアルミニウムイオン

もともと土の中には様々な金属が含まれていて、含んでいる金属の種類によって酸性・中性・アルカリ性を示します。アルミニウムも沢山含まれていて、アルミニウムは土壌がアルカリ性だと溶け出しにくく、酸性だと溶け出して植物に吸収されやすくなるんです。

 

これが「アジサイが土壌によって色が変化する」と言われている理由です。

 

実は土壌というよりもアルミニウムイオンの影響を受けていたんですね。

落ち葉

日本の土壌

日本の土壌は酸性に傾いています。大体が酸性ないし弱酸性です。

 

その原因の1つとして非常に雨量が多いことが挙げられます。降雨量が蒸発散量より多いと、土壌の下方に浸透する水により土中のアルカリ分の素となるのK(カリウム)、Ca(カルシウム)、Mg(マグネシウム)などの金属が流れてしまうんですよね。

 

そうしてアルカリ成分が抜け、土壌が酸性になると土中のアルミニウムの一部が水に融解してアルミニウムイオンになります。このアルミニウムイオンをアジサイが吸収し、アントシアニンと結びつくことでアジサイが青色を見せるわけです。

アジサイが青くなる日本の土壌の図

ヨーロッパの土壌では

ヨーロッパの土壌はアルカリ性の土壌が多いです。氷河によって山が削られるためアルカリ性の金属が多く土中に含まれているためです。また、降水量も少ないため土壌が酸性に傾きにくいことも影響しています。

 

そのため土中にアントシアニンと結びつくアルミニウムイオンが少ないため、アジサイは鮮やかなピンク色を発します。

ピンクのアジサイが多いヨーロッパの土壌

同じ場所でも色違いのアジサイがいるのはなぜ?

アジサイの根が四方八方に広がっているから、土中の位置によって吸収するアルミニウムイオンの量が変わること

アジサイが老化によって根からアルミニウムを吸収する能力が低下すること

の2つの理由が考えられます。

薄紫のアジサイ

白いアジサイは?

白いアジサイはアルミニウムと結びつく補助色素を持っていないため、土壌の影響を受けず色が変わりません。咲き始めの頃はクロロフィルの影響で薄い緑色になりますが、成長すると真っ白になり、老化によってやがてまた薄緑にもどっていきます。

おまけ:紅葉の仕組み

紅葉の色の変化の正体もアントシアニンに起因するものです。日照時間・気温の低下により光合成の効率が悪くなると植物は葉を落として休眠に入ります。その時に徐々には戸枝の栄養補給を減らしていくのですが、その際に緑色の発色の素となるクロロフィルを分解して枝に戻していくため、緑が抜けてカロテノイドによる黄色の葉っぱになります。落葉するまで光合成は続くので、そこでできた栄養素は枝に吸収されずに葉っぱに残り、栄養素を元にアントシアニンが生産される、というわけです。

紅葉の写真

アジサイの色の秘密はアルミニウムイオンとアントシアニン!

ここまでの話をまとめると

 

・アジサイはもともと赤い色の色素であるアントシアニンを持っている

 

・土壌が酸性に傾くと土壌内のアルミニウムイオンが増える

 

・アジサイが水と一緒にアルミニウムイオンを吸収する

 

・吸収されたアルミニウムイオンがアントシアニンと結びついて青い色を発する

 

これらがアジサイの色が変化する秘密であるとお分かりいただけたと思います!アジサイの歴史・文化、光と色、と続いてようやくアジサイについて書ききることができました。

 

明日は繋がって土壌の話を、その後に気候の話を、そして文明の話、社会の話なんかに広げていこうかなと思います。もともと社会のことを書くために作ったブログなんですが、早速寄り道を沢山していますね。

 

なるべく毎日更新しようと思っているので、思い出したときにでも読んでやってください。

あと、サイトなの写真は全て自分で撮ったものを、図はいらすとやさんの絵を用いて自分で作っています。

写真や図なんかを見る、くらいの気持ちでもこのブログを覗いていってくれたら嬉しいです。

 

ではまた!

 

へばな!

 

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