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どこそこの、サムネ

「どこそこの○○」という言い方はあんまり好きじゃない。

2021.07.18

今日は自分の考えについて。

  

よく、絶景写真のキャプションに、「どこそこの○○」とかっていう呼び名がついている時があるのを目にします。秋田県で良くあるのが「鵜ノ崎海岸」の写真で「秋田のウユニ」というコメントや一言がつけられているパターンですね。

  

正直言ってあまり好きな言い方じゃありません。なんだか、目の前の景色が「本家○○の劣化版」のような気がしてしまいどこか悔しく感じるのです。もちろん、そう呼ぶ人に対しての批判などは毛頭もなく、そのように呼ぶ方々もポジティブなイメージを持ちそう呼んでいるのであろうことも理解しています。どこそこの○○って言い方はプラスの面の方がきっと多くて、ある理想を想起しやすいから宣伝効果があるだろうし、紹介もしやすく便利ですものね。

  

鵜ノ崎海岸から望む天の川

ただ私は、○○の部分が、何か理想的な物事の共通意識として存在していて、それに対する憧れがあって、けどそれに届かないから、身近なものでその理想の代替品になっているような感じが悔しいのです。目の前に「ホンモノ」があるのに、わざわざどこか別の場所にある「別のモノ」のイメージを借りてくる必要はないだろうに。誰もそんなつもりはなく、「いいものはいい」という気持ちで使われている表現でしょうし、私が考えすぎかもというのは重々承知の上です。

  

別の場所にある「理想像」を借りてくるのはプラトンの「イデア論」になんだか似てるな、と思います。プラトン哲学におけるイデアとは「近くを超越した場所に存在し、直接には知覚できずに早期によってのみ認識し得る、抽象化された純粋な理念のこと。そして対象を対象たらしめている根拠であり、本質、真の存在」という意味合いとなっております。

  

例えば、私たちが「完全な円」を描くとき、コンパスを使って完全な円を描いたつもりでも、線を拡大してみると線のがたついていたり曲がっているところがあるはずで、その絵は「完全な円」ではありません。全ての円がそのように完璧でないならば、私たちは「完璧な円」を直接知覚することはできません。この時の「完全な円」がイデアと言えて、私たちは実際に見た時もない「完全な円」を思いながら似せることで描くことができているのです。

  

今回の場合だと、「ウユニ塩湖」がイデアということになります。けど、多くの人はウユニに行ったときないと思うんですよね。けどなぜか皆がイデアとしてその光景を知っている(尤もインターネットのおかげでみんな知っているのですが)。反射率が高い湖面が空を鏡のように映す光景を知っている。そして現実として目の前に「鵜ノ崎海岸」を知覚しているのにどこかでリアルじゃないイデアを想起している。じゃぁ鵜ノ崎はホンモノじゃないのか?

  

これがなんだか悔しいんですよね。 

  

そして、写真は嘘をつく。光を取り込むデジタルカメラのイメージセンサは、人間の目よりも遥かに高感度で、長時間光を取り込むことができる。だから私たちが肉眼で見る光景を遥かに上回る写真を生み出す。だから当然観光PRとかに使われる写真は、肉眼で見た景色と乖離した絵を私たちに見せて、「行ってみたら少し違った」という感想を生み出したりもする。これに関してはまた今度別の記事で書こうと思う。けどやっぱり、「どこそこの○○」の宣伝文句と一緒になると、目の前の現実が理想に負けている気がしまうんだよなぁ。というか秋田のウユニっていうけど、皆ウユニ行ったときないやん!写真でしか見たときないやん大多数の人!私もないけど!きっと皆が想起するそのウユニも写真と現物違うから!

  

とは言えウユニ塩湖は私もめっちゃくちゃ行ってみたい場所の一つです。あの景色は唯一無二でしょう。あそこで夜の写真を撮ってみたいものです。そして秋田県男鹿市の鵜ノ崎海岸もまた、唯一無二の場所で、そこでしか体験できなかったことを私にくれた場所でもあります。1つとして同じ景色は存在せずそもそも比較にならないのです。

    

初めてそこで天の川を見て感動した友達のこと。部活の仲間みんなで写真を撮りに行ったこと。行ってみたら曇ってしまい泣く泣くUターンして帰ったこと。1つ1つのリアルがありました。その現実が私にとっては最高だったから、「秋田のウユニ」って言い方をしなくてもいいんだって。そこは「鵜ノ崎海岸」。男鹿にある自然のアートです。「秋田のウユニ」ではなく「鵜ノ崎海岸」が最高なんだ!

   

男鹿の入道崎と天の川。鵜ノ崎海岸の先にある。

    

男鹿と言えばアジサイで有名な「雲昌寺」もありますね。もともとアジサイ寺というと神奈川県に「明月院」や「長谷寺」など有名どころがいくつかありましたが、男鹿の「雲昌寺」は雲昌寺として有名になっていることがとても嬉しいです「秋田の長谷寺」とかって言われていたら悔しかったと思う。。。!そう、「雲昌寺」も最高なんだ!

   

雲昌寺の写真

   

今日もまた、私の目の前にあるリアルが最高だったって、伝わるように、今日も写真を撮りに行こうと思う。その最高のリアルを伝えるにはまだ力不足なところもあるけど、いつかは大勢の人に、「これが最高!」と言ってもらえるような作品を作れるよう、続けていこうと思います。 

   

へばな!

 

鵜ノ崎海岸の天の川とナイスな岩

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